1月の新刊 その2『俯瞰する知—原島博講義録シリーズ』
巻5 科学技術のいまを問う

1月の2冊目の新刊は、『俯瞰する知—原島博講義録シリーズ』の巻5「科学技術のいまを問う」です。
人間である科学者が研究という知の営みを
楽しく行うにはどうすべきなのか?
……梶田隆章(物理学者/ノーベル賞受賞)
科学は「知る」こと、技術は「作る」こと。
自然に分け入り、自然を読み解く科学は
いつの時代も喜びと驚きに満ちた知の営みにほかならない。
一方、人は科学の知から自然を真似て道具を作りだし、
自らの五感を充足させ、拡張を試みてきた。
だが人間優位の利便性の背景には、危うさが渦巻く。
科学技術は、どこまで人の欲求に応えてよいのだろうか。
長きにわたり「科学技術」分野に身を置いてきた著者が、
人の知と技の営みを改めて見直す。
A5判変型ソフトカバー、264頁、定価 本体2900円+税、2026年1月下旬発売予定。
『俯瞰する知—原島博講義録シリーズ』 全巻構成はこちら
■目次より
はじめに第 I 部 科学技術のこれまでを振り返る
第1講 知と技はどう展開されて、どうつながったのか
1 知と技に関して、人はいかなる営みをしてきたのか2 知の営みとして発展した科学と技術
3 17世紀科学革命で自然哲学の方法論が確立された
4 19世紀科学革命で科学が哲学から独立した
5 20世紀に科学と技術が結びついた
6 本書では何を扱っているのか
7 まとめ..改めて科学と技術について思うこと
第2講 知と技の歴史を振り返る..まずは19世紀までの歴史
1 近代科学は16〜17世紀の天体力学から始まった2 18世紀は化学の時代となった
3 19世紀に近代科学が花開いて技術と結びついた
4 とりあえずのまとめ…19世紀までの化学と技術
第3講 知と技の歴史を振り返る…それは20世紀に変容した
1 20世紀はどのような時代であったのか2 相対論と量子論の前史としての光の科学
3 物理学を大きく変えた相対性理論
4 ミクロな現象を説明した量子論
5 20世紀の技術は世界を小さくした
6 そして21世紀は生命科学の時代へ
7 まとめ..科学技術はいま正念場を迎えている
第 II 部 科学技術の知を再考する
第4講 科学の知を再考する…科学は人のいかなる知の営みなのか
1 科学は人間を豊かにした2 科学によって本当に人類は幸せになれるのか
3 科学とは何かを哲学する
4 科学の営みを哲学する
5 科学と技術のこれから
6 まとめに代えて…最後に質問です
第5講 工学の知を再考する…創造の知としての新たな展開
1 工学は文化創造学である2 改めて工学とは
3 開かれた工学研究のモデル
4 工学への個人的な想い
5 文化創造学としての工学へ向けて
6 まとめ…これからの工学へ向けて
第 III 部 科学技術のこれからを問う
第6講 人は自らをどこまで改造してよいのか
1 かつて優生学がもてはやされた2 そしていま新優生学
3 望ましい/望ましくない
4 個人の能力を高める人体改造
5 人の能力拡張の是非
6 必要なのは価値観の見直し
7 完全な人間をめざさなくてもよい理由
8 まとめ…悩みは続く
第7講 人は科学技術とどう付き合ったらよいのか
1 科学技術への不信とトランスサイエンス問題2 専門家と非専門家の関係
3 科学技術コミュニケーションの試み
4 科学知だけが正しい知識ではない
5 科学技術コミュニケーションと日常知
6 まとめ…自分だけを正しいとせず、より謙虚に
第8講 研究という営みを解剖する..研究者であること 人間であること
1 そもそも研究とはいかなる営みなのか2 研究者それぞれはどのような営みをしているのか
3 研究者はいま
4 研究者が人間であること
5 まとめ…研究者も人間である
おわりに

