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追悼・祖父江慎さん


ジュンク堂書店池袋本店トークイベント|祖父江慎さんと米澤編集長
祖父江慎さん(右)と米澤編集長、『編集宣言』トークイベント in ジュンク堂書店池袋本店

デザイナー、祖父江慎さんが2026年3月15日に逝去されました。
https://x.com/sobsin
謹んでご冥福をお祈りいたします。

美大生だった祖父江さんがデザインの世界に足を踏み入れたのは工作舎のアルバイトだったそうです。「遊」編集長の松岡正剛さんに言われて大学を中退したというエピソードも有名です。工作舎には7年在籍し、独立した後も、『TRA』のデザイン、『最後には残るのは本』 での対談や『編集宣言』トークイベントでの登壇など、さまざまな形でお力添えをいただきました。「遊」時代から親交が深い編集長・米澤敬の言葉を掲載いたします。


はじめて工作舎に祖父江くん(ここではあえて「くん」と呼ばせていただく)がやって来た時のことはよく憶えている。当時、工作舎ではデザイナーの手が足りなくなっており、雑誌『遊』の読者カードからデザイン経験のありそうな若者を探して、片っぱしから電話をかけていた。そんなSOSに応えてくれたのが多摩美の学生だった祖父江くんなのである。その読書カードも細かい文字でびっしりと埋め尽くされており、なかなかの迫力だったが、実はその頃の祖父江くんはデザイン未経験者であり、書体も明朝体とゴシック体、あとは教科書体くらいしか知らなかった。

失礼を承知で言わせてもらえば、祖父江くんの第一印象は、変な奴だというものだった。もっと失礼な言い方をするなら馬鹿みたいに見えた。まあ今もその印象は変わっていない。念のため言い添えておけば、こちらにとっては変や馬鹿みたいというのは最高の褒め言葉である。ミュージシャンでいちばん変で馬鹿みたいな奴なのは、ビートルズのポール・マッカートニだと思っている。そのマッカートニーが書いた曲に「Fool on the Hill」がある。この歌のフールは賢人のことでもある。モデルはジョルダーノ・ブルーノなどとする説もあるくらいだ。歌の中の「馬鹿」は、くるくる回る世界を丘の上からじっと眺めている。ちょっと祖父江くんを思わせる。もっとも祖父江くんの場合、世界じゃなくて本人がくるくる回っていた。いまはどこでくるくるしているのだろう。また会いたいね。

工作舎 編集長 米澤敬




【祖父江慎さん関連図書】
●デザイン
『TRA』
『TRA』表4 『TRA』背
タイガー立石『TRA』遊び心に溢れた表4と背

『キルヒャーの世界図鑑』初版 メンフィスのピラミッドと墳墓(『秘儀への導者スフィンクス』より 1-第2章 綺想者の生涯
『キルヒャーの世界図鑑』初版|中頁のレイアウト(p.36-37メンフィスのピラミッドと墳墓)

『ビュフォンの博物誌』 『形の冒険』

●対談収録
『最後に残るのは本』
『最後に残るのは本』中頁:祖父江慎×米澤敬 対談
『最後に残るのは本』中頁:祖父江慎×米澤敬 対談







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