進化理論の構造 全2巻[詳細]
進化思想の大河ドラマ
I巻は、ゲーテ、ラマルク、ダーウィンから現代総合説までの[歴史篇]。
II巻は、創造説との闘い、ドーキンスとの角逐、
自身の断続平衡説をめぐる論争などを収めた[現代篇]。
スティーヴン・ジェイ・グールド遺著にして集大成、全2巻。
■目次 |
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I——歴史篇
1章 進化理論の構造を定義し改訂する【第1節】 科学理論は本質と歴史を必要とする
【第2節】 進化理論の構造
——ダーウィン理論のロジックの中心をなす三つの特徴を改訂する
【第3節】 弁明——アポロギア・プロ・ヴィタ・スア
【第4節】 長い発展のための要約
第一部 ダーウィン流ロジックと論争の歴史
2章 ダーウィニズムの本質と現代正統派理論の基盤——『種の起源』の解釈【第1節】 小規模な革命
【第2節】 歴史方法論者としてのダーウィン
【第3節】 哲学の革命家としてのダーウィン
【第4節】 重要さの判断
3章 階層理論の種子
【第1節】 二要因説における現代進化理論の誕生とラマルク
【第2節】 ダーウィンの反応に関する間奏曲
【第3節】 階層なきアルマハトはない——生殖質淘汰に関するヴァイスマン
【第4節】 個体内淘汰における階層論のヒント——分岐の原理に関するダーウィン
4章 内的要因論と形態の法則——機能論に替わるダーウィン以前の考え方
【第1節】 プロローグ——ダーウィンの運命の決断
【第2節】 自然界における神の栄光を称える二つのやり方
【第3節】 最強のフォルマリズムとしてのプランの一致——ダーウィン以前の論争
【第4節】 ダーウィンが構造的拘束に寄せた限定的ではあるが強い関心
5章 ゴールトンの多面体の実り多き切子面
——ダーウィン以後のフォルマリズムにおける経路と跳躍進化
【第1節】 ゴールトンの多面体
【第2節】 経路と一方通行としての定向進化説——ダーウィニズムの過小評価
【第3節】 内的推進力説としての跳躍説
——ダーウィニズムを周辺的原因へと追いやるためのフォルマリズム第二の戦略
6章 地質学の舞台におけるパターンと前進
【第1節】 ダーウィンと生物的競争の果実
【第2節】 地質学の舞台上の斉一性
7章 限定的な総意としての現代総合説
【第1節】 なぜ総合説なのか?
【第2節】 限定としての総合説
【第3節】 総合説の硬直化
【第4節】 ダーウィンの三本の太枝のうちの残る二つの硬直化
【第5節】 誇張されすぎた疑念から限度を超えた確信へ
II——現代篇
第二部 進化理論の修正と拡張に向けて
8章 淘汰の階層理論における個体としての種【第1節】 個体の進化論的定義
【第2節】 淘汰の因力の進化的定義と利己的遺伝子の欺瞞
【第3節】 階層論的淘汰説の論理的、経験的な基盤
【第4節】 壮大なアナロジー——進化に関する種分化の基盤
9章 断続平衡説および大進化理論の正当性
【第1節】 古生物学者の常識
【第2節】 断続平衡説の要点
【第3節】 断続平衡説をめぐる論争——批判と反論
【第4節】 断続平衡説を検証するためのデータ源
【第5節】 進化理論と変化に関する一般的な考え方に関して断続平衡説がもたらす広い意味
【補遺】 断続平衡説の衝撃と批判に関する概ね社会学的な[ただし完全に偏った]歴史
10章 個体発生と系統発生における統合と適応[構造と機能]——歴史的な拘束と発生の進化
【第1節】 プラスの概念としての拘束
【第2節】 深い相同性と浸透した平行現象
——形態空間の主要な守衛にして守護者としての歴史的拘束
11章 個体発生と系統発生における拘束と適応[構造と機能]の統合
——構造的な拘束、スパンドレル、大進化における外適応の重要性
【第1節】 進化した機能の恒久的な物理学
【第2節】 歴史の避けられない豊かなスパンドレルを外適応する
【第3節】 外適応プール——概念の適切な定式と進化力の基盤
12章 時間の塁層と外挿論の審理に一般理論と偶発的な歴史の相互作用に関するエピローグを添えて
【第1節】 時間と地質学の非等方向性における外挿論の失敗
【第2節】 かくのごとき生命観の荘厳さを生む歴史と理論についてのエピローグ
索引/参考文献/訳者あとがき
*「訳者あとがき:流れのほとりに植えられた木」を全文公開します。
■関連図書(表示価格は税別) |
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■関連情報 |
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●渡辺政隆さんオンラインイベント「スティーヴ・グールドという生き方」
下北沢のダーウィンルーム恒例の「DARWIN DAY 2022」をオンライン開催。『進化理論の構造』の翻訳者・渡辺政隆さんをメインホストに、向井万起男さんとの対談「スティーヴ・グールドという生き方」を2月12日に開催。13日は川端裕人さんとの「ドードーをめぐる尽きない話」。
詳しくはこちら「DARWIN DAY 2022」
*向井万起男さんは、健康上の理由により出演を取りやめ、渡辺さんお一人の出演となりました。
■書評 |
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●日経サイエンス 2022年4月号 三中信宏氏書評
いまよみがえる「ある英雄の生涯」
…上下2巻計1900ページもの厚さに、読む前からたじろぐ読者はきっと少なくないだろう。しかし、かつて作曲家リヒャルト・シュトラウスがオーケストラ団員に語ったという「細かい音符は弾かなくてもいいからまずは旋律を」という一言は、この長大きわまりない〈英雄の生涯〉を読み進める上できっと救いになるにちがいない。本書を手に取った読者には登攀を満願成就し、頂上からの雄大な眺めを満喫されんことを。グールドは今も生きている。
●2022.1.29 朝日新聞書評欄「情報フォルダー」
訳者は「ダーウィンへのオマージュでもあると同時に、自然淘汰説と漸進説を根幹とするダーウィンの進化理論を拡張する試み」と記している。
●2021.12.17 週刊読書人「年末回顧総特集」
科学技術部門にて横山輝雄先生がとり上げてくださいました。
「…進化論について多くの書物を刊行してきたグールドの遺作であり、20年をかけて執筆された。2冊で1800頁におよぶ大著であり、第1巻「歴史編」と第2巻「現在編」で進化理論を詳細に分析し、グールド進化理論の総括となっている。翻訳にも20年近くがかかっており、本年の成果である。」