本草奇説[詳細]
ひっそり静かに佇んでいるようで、
木も草も花も果実も、
思うところ、言いたいことは、
それこそ山のようにある。
ニンゲンサマの勝手放題、悪行狼藉、
もう黙ってなどはいられない。
動き出したら止まらない。
■目次より |
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◆草蔓の章
ち・ちがや─茅 運命の分かれた兄弟のはなし/はぎ─萩 喰われた萩のはなし/きく─菊 逃げた定家のはなし/しおん─紫苑 父を亡くした兄弟のはなし/いばら─茨 悲しむ茨のはなし/かずら─葛 穴に閉じこめられた男のはなし/ふじ─藤 藤のこぶのはなし/たけ─竹 竹取の翁のはなし◆菜穀の章
なぎ─水葱 大食感の聖のはなし/あさ─麻 虎退治のはなし/むぎ─麦 頭をかかえる師匠のはなし/いね─稲 絵のなかの馬のはなし/あわ─粟 粟が欲しい男のはなし/だいず─大豆 大豆の賭けのはなし/ひる─蒜 蒜で打たれた鹿のはなし/いも─芋 芋粥好きの男のはなし/うり─瓜 瓜を惜しんだ男たちのはなし/ひさご─瓢 恩を報じた雀のはなし/はす─蓮 池に生じた蓮のはなし/ひらたけ─平茸 挨拶をして去った法師たちのはなし◆果樹の章
うめ─梅 紅梅を愛した娘のはなし/もも─桃 鬼に追いかけられた神さまのはなし/くり─栗 栗を煮る僧のはなし/なし─梨 悲鳴をあげる橋のはなし/かき─柿 臆病な法師のはなし/こうじ─柑子 機転をきかせた雅家のはなし/たちばな─橘 愛された橘のはなし/ゆず─柚切られた柚のはなし/さくら─桜 奈良の都の八重桜のはなし◆香木の章
ひのき─檜 二股の檜のはなし/まつ─松 官位を得た松のはなし/すぎ─杉 杉の梢で叫ぶ聖のはなし/かつら─桂 なにごとも見のがさない僧のはなし/したん─紫檀 法華経の箱のはなし/びゃくだん─白檀 口に芳香を得た男のはなし/くす─楠 生きのびた仏像のはなし◆喬木の章
えのき─榎 赤い衣を射た男のはなし/うるし─漆 老母の智慧のはなし/おうち─楝 大きな大きな楝の樹のはなし/えんじゅ─槐 前世を記憶している男のはなし/むく─椋 空を飛ぶ琵琶のはなし/つき─槻 槻に登った尼のはなし/やなぎ─柳 引っ越した鳥のはなし/くわ─桑 蚤に救われた女のはなし/こうぞ─楮 けなげな猿のはなし出典一覧
あとがき
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■書評 |
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●サライ 2023年8月号 紹介
花や木の不思議な話をご賞味あれ
…一篇の長さは見開き程度なので、ちょっとの合間に読むには手頃だ。そうか大豆は『古事記』にも登場するのか。桃太郎に限らず、桃自体が鬼と縁が深いのか。梅の美しさは死者をも引き留めるのか。生長が思いのほか早いという特徴が『竹取物語』を生んだのか。などなど、草花の世界にどっぷり浸ってみてはいかがだろうか。