イマジナリー・ナンバーズ[詳細]
Imaginary・Numbers
数と式の抽象思考の果てに、 |
■栞より |
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数学者にしか許されなかった贅沢を、私はもう羨むこともない、彼女が叶えてくれたのだから。 |
■関連図書(表示価格は税別) |
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■関連情報 |
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●東京都写真美術館「恵比寿映像祭」著者参加
東京都写真美術館で開催中の「恵比寿映像祭」に、木本圭子さんが参加しています。著書『イマジナリー・ナンバーズ』は残念ながら品切れ重版未定ですが、「動画」をお楽しみください。入場無料 事前予約制。
「恵比寿映像祭」
日時: 2021.2.5(金)〜21(日)
場所: 東京都写真美術館
●イマジナリー・ナンバーズ、文化庁メディア芸術祭・大賞受賞
木本圭子氏の「イマジナリーナンバーズ2006」が、平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭・アート部門で大賞を受賞しました。 2/24からは、受賞作を一堂に会した文化庁メディア芸術祭が、東京都写真美術館で開催。
受賞作品一覧
文化庁メディア芸術祭
日時: 2007.2.24(土)〜3.4(日)
場所: 東京都写真美術館
●2006年 東京都写真美術館「ポスト・デジグラフィ」展へ出品
2006.8.12〜10.15 東京都写真美術館で開催された「ポスト・デジグラフィ」展は、「デジタルコンテンツ」と呼ばれる多様な視覚分野を、歴史的作品を含む写真的リアリティ作品、リアルを超えた現代作品、体験型作品など、3つの切り口で展示を行なう画期的な展覧会。木本圭子氏は「イマジナリー・ナンバーズ」最新作を出品。大きな話題を集めました。
東京都写真美術館「ポスト・デジグラフィ」展については、展覧会カタログとして販売された『映像体験ミュージアム
【増補版】』ページをご覧ください。
●トヨタ自動車LEXUSのメイン・ヴィジュアル・アーティストに
2006年4月、イタリア・ミラノで行われたデザイン展「ミラノサローネ」で、木本氏がトヨタ自動車LEXUSのメイン・ヴィジュアル・アーティストに起用され、アートエキジビションが開催されました。詳しくはトヨタ自動車リリースへ>>>
●『美術手帖』2005.1月号 斎藤環「境界線上の開拓者たち」にて
前半4頁は木本氏モノローグ、後半は斎藤氏の解説の構成。作品も多数収録され、11頁にもおよぶ力の入った記事です。
【木本圭子モノローグ「分泌物が現れ出る】
「この作品のどこに『私』が入っているのかって言われてもそんなの答えようがないよねえって思うんですけど、なにかそういう思考過程の分泌物が現れ出ているのではないか。」
【斎藤環 解説「エロスと運動のダイヤグラム」】
「『文脈なき触覚』としての純粋なテクスチャーを作りだし、わたしたちを盲目化へといざなうこと。盲目化とはすなわち、意味と投影によるロゴス化を封じ、学習と記憶を抑圧することである。その試みこそは『思考の分泌物』を蒸留する試みではなくて何だろうか」
●Imaginary・Numbers
*ニューヨーク MIKA GALLERY Tokyo Art Projects,Inc.
会期;2004年10月15日〜11月30日
【展覧会カタログ 木本圭子インタビューより】
IMAGINARY と NUMBERS の2重螺旋から現われて来た作品であり、
また、この螺旋構造からしか生まれない作品だったのです。
動的表現におけるこの2重螺旋とは、何なのか。
生物的・有機的ダイナミクス、とは、表現の大きな地平であり、
それはまた異分野を繋ぐ重要な交点ではないかと思いました。
そして、はじめの一歩として、この「問い」を
提出することが重要なのではないかと考えたのです。-----
●時の触覚---------「イマジナリー・ナンバーズ」
*Chameleon Project 03/4
*プロデュース・会場構成 陣内利博
会期:2003年11月10日〜21日
場所:art space kimura ASK?
【展覧会の概要】
『イマジナリー・ナンバーズ』に収録されたビジュアルを空間に展開する。コンピュータによってヴィジュアライズされた数と式は、光となって空間のなかに解き放たれる。網膜的次元を超えて呼吸する時のゆらぎが、さまざまな空間の肌理を顕在化させてここに定着する。
【作者のことば】
新しい道具のなかに、空っぽがあった。
見える形そのものより、背後の空間、時間の構成が出来ることが新鮮だった。
このアプローチのために、出発点で形やイメージを抱くことを極力避けたかった。
数式で定義される点、それは単独では何のイメージも意味も形も持ちえない。
その集まり方で、刻々と変わる性格を生み出していく。
集まり方を定める数式は、構造に関わる言語であり、
一瞬定着される点群は、さまざまなフィールドに新しい肌理を生成する。
時間は物差しだが、時は測れぬ肌理をもつ。
イマジナリー・ナンバーズはこのことばかり考えた。
■書評 |
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●2003.9月号 『芸術新潮』
y=xという方程式をみたす点は座標軸の原点を通る直線を形づくる。2次方程式は放物線、とここまでは学校で習った。では、さらに高次の式はどんな形をつくるのか。コンピュータ・グラフィックスはこの問いに容易に答えてくれる。式にさまざまな変数を与え、空間を歪めたり撓めたりすると、CGに表れる運動は刻々と変化する。著者はその絶えまない運動の、ある一瞬を切り取り、解像度を上げてフィルムに定着させた。ここには、「運動の断面」の驚くべきイメージが200頁にわたり収録されている。それは禅画の一閃する筆先を思わせ、また、花弁の緻密なミニアチュールと化し、時にエロチックな陰影さえ醸し出す。著者によれば「動きとは、物が動くことではなく、空間の様子が変わっていくこと」という。あとがきには、CG上で形を構成していく方法が、数式を交え解説されているが、ほとんどわからない。それでもこの本の魅力が減ることはいささかもない。
●2003.8.10付 朝日新聞 都築響一氏
…アーティストが用意した数式を、コンピュータがモニター上に点や 線の流れとして描き出していく、その動きをページという静止画面に定着させた作品集。子供のころに遊んだスピログラフ(お絵かき定規)の超高精度版みたいなものだが、そのミステリアスな美しさにまず息を呑む。巻末には描画生成の基本となる数式が解説されているが、ぜんぜん理解できないのが惜しい。画家が絵筆の先を尖らせるように、版画家が彫刻刀を研ぐように、コンピュータのプログラムをチューニングして彼女が描き出すのは、スピログラフ図形のような、かたちのおもしろさを探す作業のはるか彼方にあるイメージだ。点や線の動きそのものを一枚の画面で表現しようという、けなげな努力。目の前で動き続けるなにか、言い換えれば「気配」を写しとろうとする試み。それは現代の書芸術が到達した地点に、恐ろしいほど近い。