サレ・エ・ペペ 塩と胡椒[詳細]
人はなぜ「本物の料理」を求めるのか。
人は食べる。いつも食べる。
だが「食べる」とは、過去の自分が食べてきたものを、個人的に想い出すことである。
と同時にそれは、歴史によって形成され準備されてきた体験でもある。
ぶっかけ飯や缶詰をどうとらえるか。肉食とは、野草食とは何なのか。
そもそも日本人にとって、「国民料理」とは何なのか。
食材や料理のなかには「見えない政治」が働いている──。
「執筆で忙しいときに作る、ものすごく簡単な料理一覧」では、
著者のとっておきレシピを初公開。
■目次 |
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I
「日本料理」への懐疑「日本料理」の虚偽と神話
料理の真正性とは何か
料理の復元
知らないものを食べる
ツバメの巣と盆菜料理
国民料理とは何か
肉食について
野草を食べる
四方田犬彦が執筆で忙しいときに作る、ものすごく簡単な料理一覧
II
偶景ぶっかけ飯
缶詰の思い出
韓国の食べ物への信頼
三人の女性
台所にいることの悦び
■関連図書(表示価格は税別) |
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■関連情報 |
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2023年11月4日(土) シネマハウス大塚 にて
四方田犬彦『サレ・エ・ペペ 塩と胡椒』出版記念
特別講座と出版サイン会『映画と食の政治学』開催
11月4日15時30分受付開始。
講座16時から17時半。その後Q&Aとサイン会
【講座概容】
小津安二郎『お茶漬けの味』妻に隠れてそっと食べる、味噌汁ぶっかけ飯。
李櫻(リ・イン)(『靖国』の監督)『味」文革と料理の復興の困難
ブニュエル「自由の幻想」の食事と排泄が逆転した社会
パゾリーニ『デカメロン』中世の禁欲的な豆だけの食卓
フェリーニ「サチュリコン」のローマの大宴会
【緊急】現下のパレスチナ情勢を鑑み「緊急事態のガザをめぐり、パレスチナの詩人ダルウィーシュを朗読する」もプログラムに追加。パレスチナの状況についても語ります。
イベントは終了しました。
■書評 |
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●2024.1.10 「ALE&BOOKS」松本ブルワリー・勝山拓海さん(クラフトビールの奈良醸造サイト)
……「本物志向」は時として批判的なまなざしを向けられもします。大衆消費文化へのアンチテーゼとしての側面をクラフトビールが持つように。著者が提起する「真正性」への疑問は、クラフトビールにも当てはまるのかもしれません。……
●2024.1.12 週刊読書人 林浩平氏(詩人・文芸評論家)
ドクサを解体し食欲を刺激する一冊
食という、生存のために基本的行為をめぐる生政治学的問題
「…なべて口唇を経由するものは嘘をつくことができない。歌謡と料理がその典型である。(略)政治権力と経済的な富裕が上方から人々を支配し、ナショナリズムを鼓舞するとき、音楽と食生活は下方から人々を突き動かし、無意識のうちに呪縛してしまう。」ロラン・バルトに学んだひとりとして、著者は身体性に信を置き、ドクサ(世間の通念)を解体するのである。…