色彩論[詳細]
植物からあたえられる色彩の中に、
多くの不思議を見た、法則を感じた。
宇宙から響いてくる色彩の秘儀を、謙虚に、
周到に理念の鍵をもって解きあかしてくれる
ゲーテの『色彩論』は
自然を読み解く最奥の書である。
───志村ふくみ(染織家)
■目次より |
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第一巻
◎第一部 教示篇
第一編 生理的色彩 1眼に対する光と闇の関係〜8主観的な暈 付録 病理的色彩第二編 物理的色彩 9屈曲による色彩〜33薄膜干渉による色彩
第三編 化学的色彩 34化学的な対立〜56光線屈曲による色消しに見られる化学的作用
第四編 色彩論の概要 色彩はいかに容易に生じるか〜色彩はいかにしっかりと長続きするか
第五編 隣接領域との関係 哲学との関係〜結び 言語と述語に関する考察
第六編 色彩の感覚的・精神的作用 黄色〜緑色 全体性と調和〜色彩の寓意的・象徴的・神秘的使用
◎第二部 論争篇
ニュートン光学 第1篇 第1部 第1命題 第1定理 光はその色彩が異なれば、屈折性も異なる。しかも屈折性の差異は段階的である(実験による証明/実験1/実験2)〜第8命題 第2問題 望遠鏡を短くすること
ニュートン光学 第1篇第2部 第1命題 第1定理 屈折光または反射光における色彩現象は、光と影の多様な境界がさまざまにつくりだす、光の新しい変様に起因するのではない(実験1/実験2/実験3/実験4)〜第11命題 第6問題 色彩を帯びた光の混合により、太陽の直接光の射線と同じ色と性質をもつ光線を合成し、それによって先行諸命題が真であることに確証を与えること
第二巻 歴史篇
第一部 ギリシア人◎ピュタゴラス〜テオプラストスあるいはむしろアリストテレスの『色彩論』第二部 ローマ人◎ルクレティウス/プリニウス〜古代人の色彩論と色彩処理についての考察
第三部 中間期◎ロジャー・ベーコン/アウグスティヌス/テミスティオス
第四部 16世紀◎テュレシウスの小著『色彩について』〜デルラ・ポルタ/ヴェルラムのベーコン
第五部 17世紀◎ガリレオ/ケプラー/スネリウス/グリマルディ/ボイル/フック/マールブランシュ…
第六部
18世紀◎第一期 ニュートンからドロンドまで ロイヤルソサエティ/ニュートンのソサエティとの関係/ フランスのアカデミー会員〜フランクリン
18世紀後半◎ドロンドから現在まで プリーストリー/フリージ/クリューゲル〜ダーウィン/ブレア
約束していた補遺に代えて
ゲーテ『色彩論』の紹介と概要
文献リスト/索引/ 解説
別冊 『色彩論』図版集
教示篇・論争篇共通17葉[カラー13 葉]+カラー7葉
■関連図書(表示価格は税別) |
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[色彩論をより知るための関連図書]
■書評 |
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●『シュタイナーを学ぶ本のカタログ』(ほんの木編)紹介
育児・子育てから、教育、芸術、思想、社会、自然科学にわたるシュタイナー関連本212冊を紹介した総合ガイド『シュタイナーを学ぶ本のカタログ』(ほんの木編)でもゲーテ『色彩論』完訳版が「シュタイナー色彩論の原点にして、21世紀色彩論の原典」と「芸術」の章に収載。
●2000.7.7 公明新聞 前田富士男氏「ゲーテ『色彩論』をめぐって」
コンピュータ環境の発展とともに、われわれがあらためて感性の役割と意味を再検討すべき段階にさしかかっている事実も見過ごせない。
●文芸誌「すばる」2000.7月号 池内紀氏連載「こんばんはゲーテさん」にて書評
ゲーテの『色彩論』は人間の感覚、とりわけ目玉に捧げられた長大な讃歌というものだ。色ひとつとってみても、それがいかに精妙な反応を示すものか。
●美術手帖 2000.6月号特集「決定版 現代色彩事典——ゲーテの色彩論からデジタル・カラーリングへ」
志村ふくみ、小町谷朝生、前田富士男各氏らの執筆の随所にゲーテ『色彩論』への言及があります。
●2000.5.10 産経新聞評
物理学者の色彩論と截然と異なるのは、色彩を光の屈折率や電磁波の波長に還元せず、人間の眼に映じるままの色彩を問題にしていることだ。…ゲーテの面目がいかにも躍如している本である。
●2000.3.24 週刊読書人 河本英夫氏書評
今後の研究の限りない源泉
本書はゲーテ生誕250周年を記念して企画された、世界で初のゲーテ『色彩論』完訳である。このテーマについてのプロ中のプロが、時間と労力を惜しむことなく仕上げたものであり、教示篇(学説)、論争篇(ニュートン光学の吟味)、歴史篇(色彩論史)をひとつにして、それぞれに詳細な訳注と解説が付されている。ことに議論の繰り返しの多い論争篇を、まとまったかたちで読むことができるようになったことの成果は大きい。本書はゲーテ研究者ばかりではなく、哲学・思想、美学、科学史、西洋思想等の分野にかかわる人達にとって、天啓のような恩恵である。
全文再録