SPT 02[詳細]
特集 演出の冒険〜表現の新しい地平
■目次より |
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表紙 表紙の言葉 大竹伸朗
演出の現在
インタビュー 新しい「型」を模索する 野村萬斎
インタビュー 演出的世界認識 太田省吾
インタビュー イメージの力・演出の力 長塚圭史
インタビュー 映画・TV・演劇の演出をつなぐもの 堤 幸彦
インタビュー 笑いの演出 ラサール石井
インタビュー 進行形を生きる「能」の視座 坂手洋二
演出の可能性
対談 脳と演出 茂木健一郎+平田オリザ
対談 声に出して読むことの演出 小池昌代+四方田犬彦
対談 ジェンダーの演出 小谷真理+佐藤嗣麻子
対談 身体をめぐる演出 伊藤キム+森村泰昌
論考 ドキュメンタリーの演出 森 達也
論考 空間演出の欲望と病理 斎藤 環
演出の境界
対談 演出の不確定性・匿名性 ジョゼフ・ナジ+川俣 正
対談 現代という時代の演出
トーマス・オスターマイアー+マリウス・フォン・マイエンブルク
インタビュー 世界を「表象」する演出 フレデリック・フィスバック
ブックレビュー 演出の「技」・演出の「思想」 岡崎武志
上演台本 敦 山月記・名人伝 原作 中島敦/構成 野村萬斎
■執筆者紹介 (五十音順/所属・役職は刊行時のもの) |
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伊藤キム(いとう・きむ)
1965年愛知県生まれ。振付家、ダンサー。87〜90年、舞踏家・古川あんずに師事後、95年ダンス・カンパニー「伊藤キム+輝く未来」を結成。日本、世界各国で公演やワークショプを精力的に行う。01年、第1回朝日舞台芸術賞での寺山修司賞を受賞。主な作品に『激しい庭』『禁色』『未来の記』など。
太田省吾(おおた・しょうご)
1939年中国済南市生まれ。劇作家・演出家。70〜88年まで、劇団転形劇場を主宰。台詞を削ぎ落とし、ゆるやかな動きで通した「沈黙劇」のスタイルを創出。『小町風伝』で第22回岸田國士戯曲賞。湘南台文化センター市民シアター芸術監督を経て、現在、京都造形芸術大学教授。主な作品に『水の駅』『更地』など。
大竹伸朗(おおたけ・しんろう)
1955年東京生まれ。美術家。絵画、立体作品、コラージュ、印刷物、パフォーマンス(音)、絵本、写真、エッセイなどで幅広く活動。画集、著書は『SO:大竹伸朗の仕事 1955-91』『既にそこにあるもの』『UK77』など多数。90年より愛媛県宇和島市に在住。06年秋には東京都現代美術館にて大規模な個展開催。
岡崎武志(おかざき・たけし)
1957年大阪市生まれ。ライター・編集者。立命館大学卒業。『朝日新聞』『サンデー毎日』などに書評連載。古本ミニコミ誌『SUMUS』同人。著書は『古本極楽ガイド』『古本でお散歩』『古本病のかかり方』、角田光代との共著『古本道場』など。現在、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ」に出演中。
川俣 正(かわまた・ただし)
1953年北海道生まれ。美術家。東京藝術大学博士課程満期退学。77年より発表活動を開始。木材を素材にした独特の構造物を作り上げ、国内外のプロジェクトや展覧会に参加・発表。99年4月〜05年まで東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。横浜トリエンナーレ(05年9月〜12月)の総合ディレクターを務める。
小池昌代(こいけ・まさよ)
1959年東京生まれ。詩人。詩誌『三蔵2』同人。津田塾大学国際関係学科卒業。詩集に『永遠に来ないバス』(97年/現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(88年/高見順賞)、エッセイ集に『屋上への誘惑』(01年/講談社エッセイ賞)などがある。『ゆきが ふりはじめたら』他の絵本の翻訳も手がける。
1958年富山県生まれ。評論家。北里大学薬学部薬学科卒。『サイボーグ・フェミニズム』(ダナ・ハラウェイ他著。巽孝之との共訳)で第2回日本翻訳大賞思想部門受賞、『ファンタジーの冒険』で第15回日本SF大賞受賞。著書は他に『女性状無意識・女性SF論序説』『おこげノススメ・カルト的男性論』などがある。
斎藤 環(さいとう・たまき)
1961年岩手県生まれ。精神科医、評論家。筑波大学医学専門群卒業。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」問題の治療・支援など。漫画、映画、その他サブカルチャーに関する評論活動も活発。著書に『戦闘美少女の精神分析』『ひきこもり文化論』『文学の徴候』などがある。
坂手洋二(さかて・ようじ)
1962年岡山県生まれ。演出家、俳優。慶應義塾大学文学部国文学科卒。83年に燐光群を旗揚げし、91年『ブレスレス・ゴミ袋を呼吸する夜の物語』で岸田國士戯曲賞を、99年『天皇と接吻』で読売演劇大賞最優秀演出家賞・優秀作品賞を、02年『屋根裏』で読売文学賞をそれぞれ受賞。日本劇作家協会副会長。
佐藤嗣麻子(さとう・しまこ)
1964年岩手県生まれ。映画監督、脚本家。87年ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールへ留学。92年東京国際ファンタスティック映画祭で『ヴァージニア』がアボリアッツ大賞受賞。映画監督作に『エコエコアザラク』、TVドラマ演出作に『YASHA(夜叉)』、TVドラマ脚本作に『恋におちたら』など。
ジョゼフ・ナジ(Josef Nadj)
1957年旧ユーゴスラビアに生まれる。振付家、ダンサー。フランス国立オルレアン振付センター・ディレクター。ブタペストで演劇、ダンスを学び、87年『カナール・ペキノワ(北京鴨)』でデビュー。日本でも『ヴォイツェック』『ハバククの弁明』(世田谷パブリックシアター)の迷宮世界が話題を呼んだ。
堤 幸彦(つつみ・ゆきひこ)
1955年愛知県生まれ。演出家、映画監督。法政大学社会学部社会学科中退、東放学院放送学科卒業。TVドラマ『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』『池袋ウエストゲートパーク』『トリック』シリーズが話題を呼ぶ。映画監督作に『新生トイレの花子さん』『恋愛冩眞』、舞台演出作に『GOCAROKU』『電車男』などがある。
トーマス・オスターマイアー(Thomas Ostermeier)
1968年西ドイツ生まれ。89年の壁崩壊後ベルリンに移り、演出家として頭角を現す。96年ドイツ劇場の小スペース「バラック」の運営を任され、国内外の同時代戯曲を演出して人気を博す。99年シャウビューネ劇場の演劇部門の芸術監督に就任。05年6月『ノラ』『火の顔』を世田谷パブリックシアターで上演した。
長塚圭史(ながつか・けいし)
1975年東京生まれ。劇作家、演出家、俳優。早稲田大学在学中に演劇活動を開始し、96年プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」旗揚げ。04年『はたらくおとこ』作・演出、『ピローマン』演出で、朝日舞台芸術賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。俳優として映画『ゲロッパ!』『リアリズムの宿』などに出演。
野村萬斎(のむら・まんさい)
1966年生まれ。狂言師。世田谷パブリックシアター芸術監督。野村万作の長男。文化庁芸術祭新人賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞等を受賞。古典の舞台はもとより『まちがいの狂言』など狂言の技法を駆使した舞台を演出・出演したほか、舞台『子午線の祀り』『ハムレット』、映画『陰陽師』など舞台、映画に主演するなど幅広く活躍。05年9月に芸術監督就任後初の演出作品『敦』を上演。
平田オリザ(ひらた・おりざ)
1962年生まれ。劇作家、演出家。桜美林大学総合文化学群教授、大阪大学コミュニケーション・デザインセンター客員教授。国際基督教大学在学中の83年に青年団を結成し、東京・駒場のアゴラ劇場を本拠に活動。日常生活の対話様式を演劇に取り入れた現代口語演劇を牽引する。『東京ノート』で岸田國士戯曲賞受賞。
フレデリック・フィスバック(Frederic Fisbach)
1966年生まれ。フランス現代演劇界注目の若手演出家のひとり。07年アヴィニョン・フェスティバルのアソシエイト・アーティスト。パリ国立高等演劇学院卒業。01年には平田オリザ作『東京ノート』を演出上演し、フランス国内で高い評価を得る。05年12月には平田オリザ作『ソウル市民』を世田谷パブリックシアターで上演。
松井憲太郎(まつい・けんたろう)
1956年生まれ。プロデューサー、演劇批評。80年代、劇団黒テント在籍中に制作者、批評家として活動を開始。89年から世田谷パブリックシアターの計画づくりに参画し、現在はプログラム・ディレクターとして公演および学芸プログラムの企画立案を統括する。
マリウス・フォン・マイエンブルク(Marius von Mayenburg)
1972年ミュンヘン生まれ。『火の顔』で鮮烈なデビューを飾り、現在ドイツで最も注目を集めている若手劇作家のひとり。92年ベルリンに移って劇作を学び、99年よりシャウビューネ劇場のドラマトゥルグ(文芸員)となる。『火の顔』『パラサイトたち』『冷たい子供』は海外でも上演され話題を呼んだ。
茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院客員助教授(脳科学、認知科学)。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。主な著著に『脳とクオリア』『生きて死ぬ私』『脳と仮想』『脳と創造性』など。
森 達也(もり・たつや)
1956年広島県生まれ。映画監督、ドキュメンタリー作家。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画『A』を発表、ベルリン映画祭に正式招待。01年続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭にて審査員特別賞・市民賞を受賞。著書に『放送禁止歌』『ドキュメンタリーは嘘をつく』など。
森村泰昌(もりむら・やすまさ)
1951年大阪生まれ。芸術家。京都市立芸術大学美術学部卒業。85年ゴッホの自画像に自らが扮した写真作品を発表。以後現在に至るまで一貫してセルフポートレート表現を追求。88年ベネツィア・ビエンナーレ・アペルト部門に選ばれ、海外からも注目を集める。著書に『空想主義的芸術家宣言』『踏みはずす美術史』など。
四方田犬彦(よもた・いぬひこ)
1953年兵庫県生まれ。比較文学者、映画史家。明治学院大学教授。石井辰彦、小池昌代と共に詩誌『三蔵2』の同人。東京大学大学院で比較文学・比較文化を学んだ後、韓国のコングック大学、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学などで教鞭をとる。映画、文学、漫画など広範にわたる領域での著作多数。
ラサール石井(らさーる・いしい)
1955年大阪生まれ。タレント、脚本・演出家。早稲田大学在学中に劇団テアトル・エコー養成所に入り、渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成、81年花王名人劇場でデビュー。舞台、演劇活動にも力を入れ、主な作品にミュージカル『スター誕生』『Zipper』、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』がある。