有機農業で世界を変える[詳細]
利益よりもミッション優先
理想は実現するためにある!
……社会に企業というものが登場する背景には、社会に益する活動を組織的に行おうという素朴な発想があったはずである。個人が一人ではできないことを、複数の人間が組織をつくり、連帯して事業を起こすことで、もっと大きな社会的役割を果たすことができる……(第1章より)
■目次より |
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第1章 大地を守る会は、社会的企業をめざす
——ソーシャルビジネスの社会的使命
◎1975年が「画期」となった◎山形県高畠での思い出
◎「ソーシャルビジネス」への道
◎定款に「前文」をつける
◎大地を守る会こそ、ソーシャルビジネスの原点だった
◎株主総会で、株主同士が語り合う
◎ 利益よりミッションを優先する決意
◎『ニューズウィーク』誌で、世界を変える社会起業家に
◎各地でソーシャルビジネスの芽を育てよう
◎NGOだからできて株式会社にはできないものなど、ない
◎なにをいまさら、「コンプライアンス」なのか
◎新たな覚悟で、道を拓く
◎ ソーシャルビジネスの一つのかたち
◎ 交流会に男性や家族連れが多くなった
◎ 企業の成長には、人間の多様な成長が必要だ
◎ 「社会的企業」における社員とは
第2章 「ツチオーネ」が語り出す——カフェ・ツチオーネの理念
◎ 「ツチオーネ」は「大根」なのだ◎ 「ブランディング」から生まれたツチオーネ
◎ 「持続可能な組織」をめざして若返り
◎ 大地を守る会を体感できる空間がほしい
◎ 当代日本の「カフェ」への認識を新たにする
◎ 暮らしのにおいのする街で
第3章 「エコ」も楽しく行こう——フードマイレージとポコの話
◎ 「温暖化防止」のために何をしていますか?◎ アスパラガス一本で、クールビズ七日分
◎ 食べものたちの遥かなる旅の果て
◎ 「ポコ」を貯めて「エコ」
第4章 「運動」は、自立する——100万人のキャンドルナイト
◎ あえて目的を限定しない「運動」◎ 広がれ! 暗闇のウェーブ
◎ 変化は、ゆるやかな連帯から
◎ グリーン電力=運動が事業として成立するモデル
第5章 提案型運動は、こうして事業になった——不揃いな虫食いたちのドラマ
◎ おいしくておもしろいから35年続いた◎ 「つながり」をつくることが私たちの仕事
◎ 暮らしのあり方を提案する
◎ 社会も企業も理想を現実化する場だ
◎ 農薬の問題は「反対」だけでは解決しない
◎ 三段階の問題点を把握する
◎ 生産——流通——消費を同時に「革命」する
◎ 提案型運動が事業として成立した初期の事例
第6章 フェアトレードから、一歩前進する——真の「互恵社会」への道
◎ 断固たる「攘夷派」の代表だった頃◎ 私たちが「フェアトレード」を実践した理由
◎ パレスチナに「平和の道」をつくる
◎ 東ティモールのコーヒー生産者を訪ねる
◎ コーヒーを買い続けることが本当によいことなのか
◎ 「オルタナティブ」と「互恵」
◎ 「互恵のためのアジア民衆基金」設立
◎ 古着でカラチの小学校を支援
第7章 あえて、グローバリズムから下りよう——農と食の文化を創出しよう
◎ 富と貧——グローバリズムの二つの潮流◎ 日本の農業はどこをめざすか
◎ グローバリズムから下りて地域が生きる——イタリアのスローフード
◎ 有機農業の裾野を広げる
◎ 「欠品の思想」を身につける
◎ キューバの底力に感動
◎ 「宅配」のシステムを見直すとき
◎ オルタナティブ・パワーで閉塞感を破ろう
第8章 お天道様は、いつも見ている——大地を守る会の三五年を立松和平と語り合う
◎社会的ミッションを果たす企業として◎ グローバルスタンダードという名の落とし穴
◎ 「レースのカーテン」と「ネズミのしっぽ」からの脱却
◎ 獣害は深刻な問題——シカの肉を食べる
◎ 行政の積極的な対応が急務だ
◎ 世界中で飢えている10億人のために
◎ 藤田が東ティモールで、立松がラオスで感じたこと
◎ 立松さんのやわらかい目線と畏怖の心
大地を守る会の沿革 1975→2010
あとがき
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●ブッククラブ回ニューズレター
安全な食や暮らしを守る「大地を守る会」代表であり、『ニューズウィーク』誌の「世界を変える社会起業家100人」にも選ばれたソーシャルビジネスのパイオニアが、「フードマイレージ」や「100万人のキャンドルナイト」の運動など社会的企業として歩んできた35年間の道のりを語る。
●2010.12.8 日刊ゲンダイ書評
「社会的企業」へ脱皮
著者は、有機農業運動を中心とした文化活動を展開する環境NGO「大地を守る会」の創立メンバー。75年の発足後に、団体は「日本の第1次産業を守り育てること」「人々の生命と健康を守ること」「持続可能な社会を創造すること」という社会的使命を果たすべく株式会社を設立する。その35年に及ぶ活動の軌跡を通し、社会問題の解決を目標とした収益事業に取り組む事業体=社会的企業として脱皮し、再出発をしていく経緯をつづったノンフィクション。
「フードマイレージ」「フェアトレード」などを推進し、時代の課題に取り組むその姿勢に、次世代のビジネスのあり方を学ぶ。
●ふぇみん 2010.12.05号
…パレスチナの人たちが作るオリーブオイルを購入するだけでなく、その農作業のための農道づくりも援助する、韓国の詩人金芝河らとの換金作物に頼らない時給・自立をめざす「互恵のためのアジア民衆基金」設立など実践は幅広い。NGO的企業には今、 時代の熱い視線があるという。