雑誌のカタチ[詳細]
雑誌が時代を先導し、扇動できたのはなぜか?
12月の初めに出る「新年号」。
雑誌の中には常に近未来の時間が流れている。
われわれは雑誌を通して
「起きつつある何か新しいこと」に参加し、
「一歩先の未来の予感」を共有する……。
雑誌が持ちえたこうした<共同幻想力>は
どのように作り出されたのか。
気鋭のコラムニスト/批評家が
編集者、デザイナーたちの
<雑誌のカタチ>をめぐるドラマに迫る。
『季刊 本とコンピュータ』好評連載の
待望の単行本化!
序論 反懐古的雑誌論序説
──「一歩先」の未来への予感
起きつつある何か新しいこと
雑誌が持ちえた〈共同幻想力〉
雑誌観の転換が迫られている
デジタル社会の中の雑誌の〈カタチ〉
「雑誌黄金時代」へのノスタルジーを超えて
雑誌の〈カタチ〉になぜこだわるのか?
第一章 『POPEYE』
──読者の欲望を喚起する
玩具箱をひっくり返したような誌面
エッフェル塔を折り曲げる
第二章 『少年マガジン』
──ジャンル横断のグラフィズム
怪獣からノンフィクションまで
「見えないしくみ」を図解する
「雑誌の未来」を追いかけて
第三章 『ぴあ』
──過剰な誌面がもたらしたもの
これが「雑誌」なのだろうか?
《もの言わぬ饒舌誌》のメッセージ
ぴあmap、そしてチケットぴあへ
第四章 『週刊文春』
──〈集合無意識〉のデザイン力
「デザイン」なんて使ったことがない
センセーショナリズムからグラフィズムへ
試行錯誤を繰り返しながら
第五章 『ワンダーランド』
──新聞+雑誌のハイブリッド
「オリジナルな幻想」の創出
色彩的想像力を刺激する
「幻」にカタチを与える
第六章 『婦人公論』
──世紀に一度の大リニューアル
〈カタチの壁〉を壊すために
「角背」と「中綴じ」のせめぎ合い
第七章 小学館の学年誌
──平面を立体にする「お家芸」
メディアの可能性を再発見する
究極であり原型
付録は雑誌の神髄である
第八章 『クイック・ジャパン』
──〈B6判マガジン〉が描いた夢
ページの陰で待ち伏せされる
まだ見えぬ〈雑誌のカタチ〉へ
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『ワンダーランド』Graphicsより
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『クイック・ジャパン』Graphicsより
※8誌の注目ポイントとGraphicsは、「特集」でご覧いただけます。また、担当編集者・デザイナーのコメント、著者・山崎浩一氏が選んだ「今、気になる雑誌」も掲載しています。
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1954年横浜生まれ。早稲田大学政経学部卒。専攻ゼミは大衆社会論。所属の漫画研究会ではポップアートやパロディを研究。在学中よりアルバイトやミニコミ編集者として商業雑誌界の周辺を徘徊。「混ぜて欲しそうな素振り」が認められ、編集/エディトリアル・デザイン/イラストレーション等の汎用雑務家としてプロ生活に突入。主に『宝島』『POPEYE』等のカルチャー誌で活躍。80年代のカルチャーシーンを批評・図解し版下まで自作した『なぜなにキーワード図鑑』(『宝島』連載・冬樹社・新潮文庫)で書籍デビュー。多彩な紙誌に寄稿するコラムニスト/批評家として活動するかたわら、新聞書評委員なども務める。また書籍の装丁を手がける他、数誌の創刊準備スタッフとしても参加。現在も飽くことなく雑誌をメインステージに表現活動を継続中。著書に『退屈なパラダイス』『危険な文章講座』(以上筑摩書房)、『書物観光』『リアルタイムズ』(以上河出書房新社)、『情報狂時代』(小学館)、『平成CM私観』(講談社)、『複眼思考の独習帳』(学陽書房)、『千語一語物語』(実業之日本社)、『男女論』(紀伊國屋書店)、『だからこそライターになって欲しい人のためのブックガイド』(田村章+中森明夫との共著・太田出版)などがある。近刊に『僕らはへなちょこフーリガン』(双葉社)他数点が予定されている。
雑誌づくりの決定的瞬間——堀内誠一の仕事 木滑良久 マガジンハウス 5000円
証言構成『ポパイの時代』 赤田祐一 太田出版 2002
団塊パンチ(1) 飛鳥新社 2006.4
団塊パンチ(2) 飛鳥新社 2006.7
ヴィジュアルの魔術師・大伴昌司の世界 週刊少年マガジン編集部 講談社
証言構成OHの肖像——大伴昌司とその時代 竹内博 飛鳥新社 1988
実録!少年マガジン名作漫画編集奮闘記 宮原照夫 講談社 2005
及川正通イラストレーションの世界——ぴあの表紙を飾った1000の顔 ぴあ 2002
植草甚一スクラップブック 晶文社
ワンダー植草甚一ランド郎 晶文社 1971
ぼくたちの七〇年代 高平哲郎 晶文社 2004
戦後名編集者列伝——売れる本づくりを実践した鬼才たち 桜井秀勲 編書房
私の体を通り過ぎていった雑誌たち 坪内祐三 新潮社 2005
「話の特集」と仲間たち 矢崎泰久 新潮社 2005
花森安治の編集室 唐沢平吉 晶文社 1997
『噂の真相』25年戦記 岡留安則 集英社新書 2005
「面白半分」の作家たち——70年代元祖サブカル雑誌の日々 佐藤嘉尚 集英社新書 2003
平凡パンチ1964 赤木洋一 平凡社新書 2004
ユリイカ 2005年8月号 特集=雑誌の黄金時代 青土社
・STUDIO VOICE 2004年3月号 特集=雑誌文化伝説'70〜85 インファス>
ターゲット・メディア主義——雑誌礼讃 吉良俊彦 宣伝会議 2006.4
●2006.10.17〜11.15 刊行記念フェア
『雑誌のカタチ』の刊行を記念して、青山BC六本木店にて「雑誌のカタチ」フェアを開催。
読者傾向の細分化、フリーペーパーの登場…雑誌というメディアは今、ターニングポイントを迎えています。かつて時代を先導し、力を持ちえた雑誌は、どのようにつくり出されたのか? 当時の編集者・デザイナーたちにインタビュ−を試みた『雑誌のカタチ』を中心に、雑誌、編集、デザイン、メディア関連書籍を集めたフェアです。写真はこちら >>>
[お楽しみ企画]
・著者・山崎浩一氏に、現在刊行中の雑誌の中から気になる「カタチ」をコメントつきで選書していただきました。
・ワンダーランド、戦前の婦人公論、初期のクイックジャパンなど、入手不可能な雑誌を展示。
青山ブックセンター六本木店 入り口右手フェアスペース
●2006.11.30 刊行記念トークセッション
『雑誌のカタチ』の刊行を記念して、ジュンク堂書店池袋本店にて、 著者・山崎浩一氏と、メディアに詳しい永江朗氏のトークセッションを開催。
2006年11月30日(木) 19:00〜
JUNKU連続トークセッション
「雑誌の黄金時代は甦るのか」
山崎浩一/永江 朗
会場:ジュンク堂書店池袋本店 4階喫茶
●ダ・ヴィンチ 2006.1月号紹介
かつて雑誌が時代の羅針盤となった時代があった。雑誌が時代を先導し、扇動できたのはなぜか? 雑誌の黄金時代に秘められた共同幻想力とは何だったのか。
●2006.11.26 朝日新聞 重松清氏 書評
「器」の手触りからさぐる可能性
…<雑誌のカタチ>は、読者が手に取ってページをめくるという身体の運動と不可分である。編集者やデザイナーもまた、綿密な手作業や足で稼いだスクープ記事など、体を張って雑誌をつくる。本書にノスタルジーがあるとすれば、つくり手と読み手がかつて確かに共有していた「手触り」「肌触り」という言葉に象徴される雑誌の身体性を浮き彫りにしたことだろう。しかし、ウェブの時代に雑誌の可能性を探るとき、その懐かしさは新しさに変わる。…本書は「過去の名雑誌」を論じたのではなく、いまだ創刊されていない魅力的な「新雑誌」のための提言に満ちた一冊なのだ。
●AERA 2006.11.27号 松山巌氏 書評
雑誌のパワーはどこにある?
…8誌の編集者は常識にとらわれず、いや、ときに常識を知らず、判型を変え、綴じ方を変え、表紙もレイアウトもデザインも変えてしまった。冷静な判断よりも時間に追われ、実行し、少しずつカタチをつくった例が多い。それだけ手作業が多く、試行錯誤の連続であった。どの話も面白く、本書はユニークな出版史にもなっている。
●2006.11.19 東京新聞 書評
雑誌にしかつくれない世界
… 編集者とデザイナーが工夫を凝らした情報伝達の<カタチ>に着目する著者は、ものづくりの職人としての編集者が編み出す「パッケージ」とウェブ情報の違いを指摘し、「雑誌にしかつくれない世界」が今なお存在することを力説。
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