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『PLANTED』(毎日新聞社・季刊・880円)
「都会のベランダ園芸愛好家」という新市場を開拓するいとうせいこう編集長のボタニカルライフ・マガジン。総天然色大判ビジュアル誌にこそ相応しいジャンルだ。毎号ADが代わるのも新機軸。植物の種等の付録つき。 |
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『easy traveler』(easyworkers・季刊・750円)
旅行誌風タイトルだが、なんでもアリの生活提言誌。中心スタッフは元『Olive』編集者ら女性。創刊当時の『anan』の硬派記事を思わせる中身の濃い取材読み物主体の、しかもビジュアル誌。『ku:nel』よりずっと刺激的。 |
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『Re:s[りす]』(リトルモア・季刊・680円)
大阪発の「あたらしいふつうを提案する」雑誌。タイトル由来はRe・Standard。水筒やワープロ専用機等の一見アナクロな道具を徹底特集したりする。ザラ紙カラーの色調と感触が心地良い無印良品的新雑誌。
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『Banca』(Banca編集部・不定期刊・525円)
ブラジル大好き人たちが自主発行する「ブラジル音楽と文化の紹介・研究誌」。わずか50ページのA5版だが、内容は濃く熱い。「好き」を雑誌のカタチで表現するならこのサイズとボリュームで充分、と思わせてくれる。 |
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『Arne[アルネ]』(イオグラフィック・季刊・525円)
「かつての『平凡パンチ』の表紙イラストレーター」といってももはやチンプンカンプンな人たちにも読んで欲しい大橋歩の個人的生活雑誌。生活日誌みたいなある種贅沢なミニ雑誌だが、この風合いはブログでは表現できない。
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『暮しの手帖』(暮しの手帖社・隔月刊・900円)
戦後日本の民主生活を定点観測してきた「生ける伝説」的雑誌。初代編集長(花森安治)が創ったカタチが継承され続けている点でも希有な存在。まさしく雑誌の中のザ・雑誌。雑誌という浮き草業界にも伝統芸は存在するのだ。 |
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『BRAVAgita[ブラヴァジータ]』(創工社・季刊・780円)
「大人の女性のLife & carマガジン」と銘打つ女性クルマ雑誌。なるほど、まだこんな手があったか。AD羽良多平吉のセンスとタイポグラフィが全編に炸裂するデザインワークが圧巻。高級絵本として楽しめる。 |
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『大人の科学マガジン』(学研・2000円)
「元祖ふろく付マガジン・大人版『科学と学習』」。自家製プラネタリウム、天体望遠鏡、投影式万華鏡といった付録の比重を考えれば、むしろ雑誌のほうが「付録」かも。科学雑誌と付録文化の伝統を未来に継承する貴重な存在。 |
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『KING』(講談社・月刊・600円)
大日本雄弁会講談社の戦前・国民雑誌『キング』の名を復活させた「日本男子再生!マガジン」は、バブル期の広告満載男性カルチャー誌とアングラ・ストリート系雑誌が合体したような体裁。350ページの中綴じ右開きはちょっと新鮮。 |
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『Meets Regional』(京阪神エルマガジン社・月刊・420円)
京阪神の地域密着情報誌、というより昔懐かしく「タウン誌」と呼びたい。誌面が醸し出すつくり手と情報源・読者とのこの独特の距離感は、東京の雑誌ではなかなか味わえないもの。東京にもエリア限定のタウン誌が欲しい。 |
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『[本人]』(太田出版・季刊・950円)
松尾スズキがスーパーバイズ(≒責任編集)する「本人主義」文芸誌。ブログ全盛時代に、単なる私小説を超えた「活字によるリアルな本人の物語」にこだわる。兄弟誌『QJ』とは似て非なる正統派(?)文芸誌の体裁を装う。 |
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『SITE ZERO / ZERO SITE』(メディア・デザイン研究所・不定期刊・2000円)
すみません。まだ読んでないので内容は知りませんが、カタチが面白いので選んでみた。どう見てもB6版書籍なのに、あくまでも批評誌。しかもセロファンでパックされ、想像力が挑発される。なんだか懐かしい。あ、ビニ本か。 |
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『サッカー批評』(双葉社・季刊・980円)
スターシステムと完全に縁を切った希有のスポーツ誌。しかも季刊なので目先のゲームやイベントに目もくれず、中長期的視野でサッカーの「現在」を俯瞰・分析する最硬派のサッカー文化誌。そのカタチも完全にカルチャー誌だ。 |
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『dA』(田園城市文化事業有限公司・季刊・2500円)
ABCで見つけた台湾の建築雑誌。とにかくそのカタチがラディカルだ。3個の穴が雑誌全体を貫いているのだが、そこから雑誌という質料を持つメディアへの意志のようなものが見えてくる。雑誌は「情報を超える何か」なのだ、と。 |