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  あまりに専門化が進みすぎてしまった現代科学。研究のための研究となり果て、社会との関わりさえ見えにくくなっている今、長らく科学の殿堂の中で生きてきたダイソン先生の言葉に耳を傾けることは貴重である。

老いてなお、科学そのものへの信頼と宇宙への憧れを絶やさない知の巨人からのメッセージ『ガイアの素顔』。この本からはじまる読書の旅をご案内したい。(編集部・堤 靖彦)
ガイアの素顔  フリーマン・ダイソン



【宇宙へのまなざし】






月世界へ行く
ジュール・ヴェルヌ(創元SF文庫)

永遠に変わらぬ宇宙少年の原点にしてバイブル。ダイソン先生もまた、星空の向こうに広がる大いなる世界に憧れた一人。「ガイアの素顔」第1章には、9歳のダイソン少年が書いた未完のSF小説がおさめられている。
火星地球化計画——火星探査とテラフォーミングの真実
竹内 薫(実業之日本社)

人類の宇宙開発の「次なるチャレンジ」と言えるのが、有人火星探査。無人探査機による調査で秘められた火星の姿が次第に明らかになっている。有人探査、植民計画、そしてその先に緑豊かな火星の姿を夢想する。
宇宙の歩き方
林 公代(ランダムハウス講談社)

どうやらフツーの人でも宇宙に行ける時代が近づいてきているらしい。20年後くらいには、かつての海外旅行レベルの感覚になっているのだろうか? ともあれ「行った気分になれる」ガイドブックがこれ。
リングワールド
ラリイ・ニーヴン(ハヤカワ文庫SF)

ダイソン先生が考案した超巨大宇宙構造体「ダイソン球」。それには及ばないまでも、恒星をぐるりと取り囲むリング上の奇妙な世界を、見事な想像力で描き切ったSF史上屈指の傑作がこれ。
【科学と未来】
創造する機械——ナノテクノロジー
K・エリック・ドレクスラー(パーソナルメディア)

ダイソン先生が期待しているという「ナノテクノロジー」。現在では着々と基礎研究が進みつつあり、本書でナノテクの伝導師ドレクスラーが予言した夢の社会が少しだけ見えてきたような気がしないでもない。
新世紀未来科学
金子隆一(八幡書店)

科学はいつも未来を切り開く原動力であった。本書はSFが予言した未来テクノロジーを、現代の科学の目でとらえなおし、そしてそれがどこまで実現可能なのかを検証。そこから未来社会の姿を展望する。


【科学者たちの生態】







ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)(下)
リチャード・P・ファインマン(岩波現代文庫)

「ガイアの素顔」第28章で語られるダイソン先生と若き日のファインマンとの交流。物理学における偉大な功績よりも、本人のユーモアに満ちた人生の方が一般には有名になってしまったファインマンさん。
プリンストン高等研究所物語
ジョン・L・カスティ(青土社)

ダイソン先生が所属したプリンストン高等学術研究所は、20世紀科学の世界的な中核でした。アインシュタイン、フォン・ノイマン、オッペンハイマー、ゲーデルなどなど、知のスーパースターの実像を「小説」として描いた書。
科学者は妄想する
久我羅内(日経BP社)

天才とナントカは紙一重というが、世界を変える科学的研究と「トンデモ」もまた紙一重なのだろう。一応科学的根拠はあるが、傍から見るとキテレツな研究に打ち込んでいる科学者たちを多数紹介。
太陽レンズの彼方へ マッカンドルー航宙記
チャールズ・シェフィールド(創元SF文庫)

宇宙開発に並々ならぬ愛を注ぐダイソン先生。世が世なら自ら宇宙の大海に乗り出していきたいはず。本書の主人公マッカンドルー博士は自ら開発した宇宙船に乗り込み、宇宙を駆けめぐる。科学者はまず冒険家たるべし?




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