裸のランチ
ウィリアム・バロウズ(河出書房新社)
ラリって妻を射殺した「ウィリアム・テルごっこ」を筆頭に、ドラッグに関する武勇伝には事欠かないバロウズが、希代のジャンキー作家としての地位を不動のものとした名著。独自の技法「カットアップ」と自身の多彩なドラッグ遍歴に裏打ちされた本書は、今読んでも壮絶である。
そんなバロウズから影響を受けたアーティストは数知れず、さまざまなメディアで活躍している。 後に勃興する数多のカウンターカルチャーの起爆剤となった意味でも本書の存在意義は大きい。
|
私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか ——ロジャー・コーマン自伝
ロジャー・コーマン(早川書房)
「B級映画」や「低予算」のイメージが先行しがちなコーマンだが、アウトサイダーや社会不適合者にスポットを当てた『ワイルドエンジェル』や『白昼の幻想』といった名作も数多く残している。
サイケムービーの金字塔との呼び声も高い『白昼の幻想』の舞台裏では、元来勤勉なコーマンが、「監督を行う上での勉強」という名目でLSDをキメるという涙ぐましい努力があったそうだ。
この映画に出演したピーター・フォンダとデニス・ホッパー、そして脚本を担当したジャック・ニコルソンは、この後に名作『イージー・ライダー』でヒッピーカルチャーのシンボル的存在となった。
|
クール・クールLSD交感テスト
トム・ウルフ(太陽社)
『現代美術コテンパン』等でおなじみのジャーナリスト、トム・ウルフが60年代後半のヒッピームーブメントを鮮やかに綴ったレポート。ここに描かれているドラッグの使用法やコミューンでの共同生活といったヒッピー達の生態に関する詳細な記述からは当時の状況がよくうかがえる。資料的価値が極めて高いだけに絶版状態となっているのは残念だ。
ちなみにSonic Youthのギタリスト、サーストン・ムーアが主宰するレコードレーベル"Ecstatic Peace!"は本書の一節から命名されているとの説有り。
|