南部陽一郎博士とポリツァー博士の対談『素粒子の宴』には、印象的な発言が多い。南部博士のノーベル物理学賞受賞理由「対称性の自発的破れ」については何度も言及される。この対談は工作舎で催された公開対談だったため、最後は観客からの質疑応答となる。「対称性がよくわからない」という質問に対して、お二人の噛み砕いた説明は本書ならでは。
南部 目の錯覚を利用したようなデザインがアジアにありますよね。ある見方をすると、ひとつのパターンが見えるんだが、もうひとつ別のパターンが見方を変えると、突然見えてくる。これは見方による自発的破れと言えるんじゃないですか。 ポリツァー 自発的に破れる対称性というのは、背後のルールの対称性に拠っているんです。…しろうとにはできあがったものがバラバラに見えるかもしれないけれど、熟練した人にはそれらがある一定の共通なルールに従って作られたことがわかる。これは対称性です。しかし、理解するためには熟練が必要だし、ここで言う対称性というのは、ある事物をひっくり返すともうひとつの事物と重なるというのでもない。かなりこみ入った問題なんです…フーッ!(『素粒子の宴』より)
南部 目の錯覚を利用したようなデザインがアジアにありますよね。ある見方をすると、ひとつのパターンが見えるんだが、もうひとつ別のパターンが見方を変えると、突然見えてくる。これは見方による自発的破れと言えるんじゃないですか。
ポリツァー 自発的に破れる対称性というのは、背後のルールの対称性に拠っているんです。…しろうとにはできあがったものがバラバラに見えるかもしれないけれど、熟練した人にはそれらがある一定の共通なルールに従って作られたことがわかる。これは対称性です。しかし、理解するためには熟練が必要だし、ここで言う対称性というのは、ある事物をひっくり返すともうひとつの事物と重なるというのでもない。かなりこみ入った問題なんです…フーッ!(『素粒子の宴』より)