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追悼・ラヴロック博士


地球生命圏ガイアの時代

「ガイア理論」のジェームズ・ラヴロック博士が2022年7月26日に亡くなられました。この日が103歳の誕生日でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。

7月29日の毎日新聞コラム「余禄」でも「当初は非科学的と批判も受けたが、温暖化など地球環境の変化に関心が高まる中で賛同者が増えた」と偲んでいます。全文は 毎日新聞サイト

「ガイア仮説」を世に問うた記念すべき第1作 『地球生命圏—ガイアの科学』(邦訳1984年)の原題は”GAIA" 。タイトルではなくサブタイトルに「ガイア」を入れたのは、当時は「ガイア」では読者がピンと来ないと思ったからだそう。しかしその後、「ガイア説」はエコロジー運動の原動力となり、瞬く間に拡がりました。『地球生命圏』も増刷を重ね、現在は品切れに。来年以降に増補改訂して復刊する予定です。



地球生命圏

『地球生命圏—ガイアの科学』
(原題:Gaia , 邦訳1984年/星川 淳=訳)

ガイアはここから始まった
「宇宙空間から眺めた地球は文字通りひとつの生命体だった!」 宇宙飛行士たちの証言に代表される新世代(ニューエイジ)の地球像。NASAの宇宙計画に参画した著者は、この宇宙時代の啓示を、大気分析、海洋分析、システム工学などを駆使して実証科学に置き換えた。出発点となった「ひとつの生命体としての地球」の名前は「ガイア」。ギリシア神話の大地の女神で天文神ウラノスの母でもあり妻でもあったという初源の神の名。地理学や地質学の語源ともなっている。地球生命圏=ガイアの健康のあり方を問う視点は環境問題の盲点を洗い出し、ガイアのパートナーの一員としての人間の課題をクローズアップする。
四六判/上製 304頁 定価 本体2400円+税[品切]

ガイアの時代

『ガイアの時代—地球生命圏の進化』
(原題:The Ages Of Gaia , 邦訳1989年/星川 淳=訳)

ガイアはここまでわかった
「ガイア理論はわたしたちに惑星的な視野をもつことを迫る。重要なのは個別の生物種ではなく惑星の健康である。まず第一に人間の健康を考える環境運動と、ガイアとが袂を分かつのはここだ。…こんなことをいうと読者の多くは、人命に対する驚異への取り組みに生涯を賭けた環境保護派の科学者たちを欺くものではないかと思われるかもしれない。が、それは私の本意ではない。わたしはガイアの声を代弁したいだけなのだ。なぜなら、人間の声を代弁する人の数に比べ、ガイアを代弁するものがあまりにも少ないから。」J・ラヴロック(本書より)
四六判/上製 392頁 定価 本体2330円+税[在庫あり]

7月29日の産経新聞コラム「産経抄」では「地球温暖化問題は、ガイア理論にあてはめれば、地球は熱病に苦しんでいる患者にたとえられえる」とし、さらに100歳の誕生日に刊行した『ノヴァセン』(NHK出版)にも言及したうえで、「ちなみに博士が示した処方箋の一つは、脱炭素の電源である原子力発電だった」と結んでいます。全文は 産経新聞サイト

この「産経抄」の指摘のとおり、ラヴロック博士自身は原子力支持者です。2006年には、原子力発電を積極的に支持した『ガイアの復讐』(中央公論新社)を刊行。そのときの衝撃と困惑から 工作舎では「特集・ガイアの時代」を組み、『地球生命圏』『ガイアの時代』の翻訳者であり、環境問題に取り組む星川淳さんにご寄稿いただきました。温暖化問題とエネルギー危機がより深刻となった今だからこそ、深く心に刺さる内容です。

特集・ガイアの時代:ラヴロック博士のガイア理論とエコロジストたちのガイア
特集・ガイアの時代:ラヴロック博士のガイア理論とエコロジストたちのガイア





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