追悼・ラヴロック博士
「ガイア理論」のジェームズ・ラヴロック博士が2022年7月26日に亡くなられました。この日が103歳の誕生日でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
7月29日の毎日新聞コラム「余禄」でも「当初は非科学的と批判も受けたが、温暖化など地球環境の変化に関心が高まる中で賛同者が増えた」と偲んでいます。全文は 毎日新聞サイトへ
「ガイア仮説」を世に問うた記念すべき第1作 『地球生命圏—ガイアの科学』(邦訳1984年)の原題は”GAIA" 。タイトルではなくサブタイトルに「ガイア」を入れたのは、当時は「ガイア」では読者がピンと来ないと思ったからだそう。しかしその後、「ガイア説」はエコロジー運動の原動力となり、瞬く間に拡がりました。『地球生命圏』も増刷を重ね、現在は品切れに。来年以降に増補改訂して復刊する予定です。
『地球生命圏—ガイアの科学』
|
|
『ガイアの時代—地球生命圏の進化』
|
7月29日の産経新聞コラム「産経抄」では「地球温暖化問題は、ガイア理論にあてはめれば、地球は熱病に苦しんでいる患者にたとえられえる」とし、さらに100歳の誕生日に刊行した『ノヴァセン』(NHK出版)にも言及したうえで、「ちなみに博士が示した処方箋の一つは、脱炭素の電源である原子力発電だった」と結んでいます。全文は 産経新聞サイトへ
この「産経抄」の指摘のとおり、ラヴロック博士自身は原子力支持者です。2006年には、原子力発電を積極的に支持した『ガイアの復讐』(中央公論新社)を刊行。そのときの衝撃と困惑から 工作舎では「特集・ガイアの時代」を組み、『地球生命圏』『ガイアの時代』の翻訳者であり、環境問題に取り組む星川淳さんにご寄稿いただきました。温暖化問題とエネルギー危機がより深刻となった今だからこそ、深く心に刺さる内容です。
特集・ガイアの時代:ラヴロック博士のガイア理論とエコロジストたちのガイア