福井栄一『十二支妖異譚』増刷!
仏魔一如(ぶつまいちにょ)が人間だけに当てはまると考えるのは、早計である。
子、丑、寅……と小児にさえ親しまれている十二支の生きものたちも、いつも無垢で愛らしいとは限らない。
たまさかに、妖しく不気味な貌を見せる。本書ではその刹那を鮮やかに切り取った話ばかりを集めた。
怖いことは、往々にして愉しい。(はじめにより)
上方評論家の福井栄一さんの「古典がたりシリーズ」第1作、『十二支妖異譚—神様になれなかった動物たち』。年末年始の風物詩としてお馴染みとなった本書を、夏なのに増刷します。
十二支の生きものたちをめぐるちょっと怖い話を、記紀神話、説話文学、読本、歌舞伎など古典から選りすぐり、平易な現代語に訳したショートショート、全159話。
「怖い話がぴったりの、夏だからこそ増刷」が正しいようで。8月20日出来。「古典がたりシリーズ」の他の本も合わせてお読みください。
■目次より
はじめに鼠、指を噛む/大国主命と鼠/呑んだものは何か/空飛ぶ鼠 など
牛へ化する女/霊牛のこと/鬼同丸の待ち伏せ/母牛の怨み など
雪山に消えた息子/荒野で虎に遭う/虎の前世/虎魄(こはく)のこと など
生皮を剥がれた兎/兎の発心/兎は神/波に兎/月と兎 など
梵鐘を愛する龍/登龍のこと/龍王の油断/挨拶に来た龍 など
蛇の執念/笛の音を聴く大蛇/熊と争った大蛇/殺しても殺しても など
幻術使いと馬/物を言う馬/馬上で歌うな/怪死者二名 など
羊の舌を抜いた男/殺した羊の正体/羊乳と地生羊 など
鞠の精の正体/猿になった子ども/猿の剣術/猿の舞 など
頭に生えてきたもの/一本足の鶏/闘鶏の真意/鶏を忌む里 など
天の怪異と犬/六本足の犬/犬に見え、人に見えぬもの/犬の変化 など
源為朝と大猪/青い怪光の正体/霊猪現る/動く墓 など
おわりに