●キルヒャーの音楽図譜 04
『普遍音楽』より
7種の鍵盤
クラヴィチェンバロの鍵盤(上から)
I 1オクターヴ13鍵、汎用の鍵盤 /II オクターヴ13鍵、別の配置法 /
III オクターヴ17鍵、2種の音階用 /IV オクターヴ19鍵、3種に対応 /
V オクターヴ19鍵、F fa ut に移調したもの /VI オクターヴ27鍵 /
VII オクターヴ32鍵、極めて完全な鍵盤
一般的なクラヴィチェンバロは4オクターヴ、あるいは52のパルムラを持ち、各オクターヴに白8つと黒5つの13のクラウィス*があり、各オクターヴは12の均等な半音に分割される。しかし、そのような共通の鍵盤においては、全ての協和音——特に長・短3度、6度——が見出せるわけではないので、それらの協和音を用いるなら、鍵盤を増やさなければならない。
実際、ローマでは、クラウィスないしタスタトゥーラの配列が7種あり、7種のクラヴィチェンバロが見られる。一つ目のものには、1オクターヴに13のパルムラがある。二つ目のものには、同数だが、配列が異なる。三つ目のものには、今挙げた二つから作られ、1オクターヴに17のクラウィスがある。四つ目のものは、3種のハルモニアに対応したもので、配列が異なる。五つ目のものは同数だが移調用だ。六つ目のものは1オクターヴに27、七つ目のものは32のクラウィスがある。しかし、ごく少ない音程を奏するのには、六つ目のものが一番適している。 (「第三巻 楽器 第一部 絃楽器 第二章 多絃楽器」より)
*クラウィス(clavis):鍵盤楽器の鍵盤を構成する一つ一つのキーを指す。「パルムラ」と同義で用いられる。