●キルヒャーの音楽図譜 03
『普遍音楽』より
蜘蛛の巣の驚くべき構造
不思議を秘めたハルモニア的な芸術作品は、蜘蛛の巣に見られる。弾くことができるほどその糸が強ければ、完璧なデカコルドン(10絃)を聞かせるであろう。蜘蛛が一般に六角形を作り、各々の角を十本の糸で比率よく編み上げ、その長さは完全なデカコルドンを成しており、六角形の網は六面に等分される。そして、十本の糸はそれぞれの角で巧みに編み上げられており、完全なデカコルドンとみなすことができる。最初の絃から最後まで半音階でディアパソン*を成すように配分されている。(「第三巻 楽器 第一部 絃楽器」より)
*ディアパソン:古代ギリシアからルネサンス期にかけて用いられた音程を表す用語。ディアパソン(原意:全てを通して)は8度を意味する。