寛容とは何か[詳細]
多様な他者とともに生きるために
17世紀、カトリックとプロテスタントの宗教対立が続くイギリスで
「政教分離」を唱えたジョン・ロックから、ピエール・ベールの「他者」の視点、
ライプニッツの「新旧両教会合同」計画、ヴォルテールと「カラス事件」、
レッシングの『賢人ナータン』、マルクスによる「国家と宗教」、
そして日本における内村鑑三不敬事件、中野重治の「転向」まで、
著者は寛容思想の系譜を丹念に辿りながら、現代の我々に問いを投げかける。
様々な対立が生み出す不寛容が世界を引き裂こうとしている現代、
寛容(tolerance)は、果たして共存の原理たりうるのだろうか。
著者がライフワークとして取り組んだ、寛容思想研究の集大成の書。
■目次 |
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第一部 近代西欧における寛容思想の展開
第一章 政教分離の思想的基礎づけ—ジョン・ロックの『寛容についての書簡』を中心に
第二章 相互的寛容への隘路 —ピエール・ベール論覚書
第三章 17世紀西欧における教会合同の試み
—ライプニッツとボシュエとの往復書簡に関する一考察
第四章 《狂信》と《理性》—ヴォルテール『寛容論』再考
第五章 党派性の克服はいかにして可能か
—レッシング『賢人ナータン』を中心に
第二部 宗教・国家・市民社会の近代的構造連関と帝国憲法下の不寛容との闘い
第六章 国家と宗教—カール・マルクス「ユダヤ人問題によせて」に関する試論
第七章 明治期の政治・宗教・教育
—「内村鑑三不敬事件」と「教育と宗教の衝突」論争
第八章 1930年代における「転向」の一様相
—文学者中野重治の軌跡
補 章 寛容は共存の原理たりうるか —ザルカの思考に寄せて
*本書は福島清紀論文集刊行委員会による論文集刊行計画により実現した。
■関連図書 |
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