文字の霊力(れいりき)[詳細]
漢字と身体の記憶……
印す文字、祀る文字……
壽字爛漫、変化する文字……
「手」文字の象……
■目次より |
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はじめに 文字の生息圏を歩く |
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【1】 松岡正剛さんとの対話「文字を巡って」より松岡:かつてデザインされた東京画廊のパンフレットや「間」の展覧会のポスターや文学者の全集の装幀などの仕事に見られるように、漢字だって扱い方によっては原初のパワーを蘇らせることができると思うんです。
杉浦:あのころは、活字による文字表現について、いろいろなことを考えていました。 |
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【2】「森羅万象のざわめきを映す 漢字のカタチ2」より「文字であることを超えてしまった不可思議な文字」群の典型的な例は、一群の「護符」や「靈符」である。…書き記された靈符は、簡単に読み解けない文字群である。むしろ、読めそうで読めない文字だ…ということに意味がある。魔を降す力を放射する、境界線上の文字群である。 |
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●「書道界」2014年12月号 臼田捷治氏書評
漢字が放つオーラを透視し 多次元的な理解に誘う
…著者はタイトルを「霊力」ではなく旧字の「靈力」としたことへの強いこだわりを表明している。旧字にある「口」三つの並列は、元は巫女などが呪術を発揮するための祈祷用祭器であり、したの「巫」はふたりの巫女が向かい合って祈る姿を表している。そのように「人のふるまいをのせ」、「呼吸し、血脈をもつ」漢字がそなえる超越性への眼差しが本書の基調音。…
文字、とりわけ漢字が放つ只ならぬオーラを透視する眼力とそれを裏付ける人類の表象世界全般への深い知見。そんな著者の情熱的な語り口が、私たちに新鮮な驚きを伴う多次元的な理解へと誘う。掲載図版も豊富。
●2014.11.9 東京新聞/中日新聞 武田雅哉氏書評
魅惑の漢字デザイン
…中国政府は簡略字を提唱しているが、人民は昔の複雑な漢字のほうがお気に入りと見えて、なかなか浸透しない。文字はつまるところ道具にすぎないのだが、道具にもあれこれ思い入れを抱き、こだわってしまうのが人間というものらしい。それは文字に「靈力(れいりき)」があるからだ。
本書はまさに便宜性だけでは測りきれない、われわれを魅了する文字の靈力を周到にレイアウトされた多くの図版とエッセイとで綴った宝石箱のような一冊。…全文は東京新聞サイトへ
●「大東書道」2014年11月号(書道研究所刊) 古賀弘幸氏書評
文字は生きている! 杉浦康平の文字論
ただならぬ聖性を帯びた奥深いオブジェ=漢字をテクノロジーによってデジタルに還元してしまったのが、現在の私達なのですが、その生命を救い出し、息を吹き込み、生活の中に蘇らせようとするのが、杉浦氏の目論見だと思われます。文字はまさしく「生きている」のだと思います。筆と墨によって漢字を不断に賦活しようとする——これは言うまでもなく、書とは無関係ではありません。
●WEBRONZA「神保町の匠」 松本裕喜氏書評
文字の霊はどこに宿るか
杉浦さんの本を読んでいつも感心するのは、根源的な問いかけが発想の元になっていることだ。この本では、私たちがふだん接している文字、とりわけ漢字についてのさまざまな「なぜ」が考察されている。以下、その一端を紹介していきたい。
杉浦さんは、なぜ「線」が文字の主役になるのか、と問いかける。…
本書は、「漢字という生きもの」の不思議な力が、おびただしい図版とともに解き明かされる、発見に満ちた本である。関心をもたれた方は、ぜひ実際に手にとって確かめてみてほしい。これは、本でしか表現できないことを書き記した本なのだ。