文字の霊力(れいりき)
日本を代表するグラフィックデザイナー杉浦康平の「デザインの言葉」シリーズ。半世紀を超える活動から、エッセイ、インタビュー、講演、対談などの「言葉」を精選・集成した。杉浦グラフィズムを貫く思想は、こうした「言葉」に凝縮されている。
第3弾『文字の霊力』が、ついに登場する。文字、漢字を読み解く卓抜なイマジネーションは、日本語タイポグラフィに新たな息吹を与えてきた。そんな杉浦氏ならではの待望の巻である。巻頭の松岡正剛との息の合った対話から引き込まれる。白川静の漢字学はもとより、タイポグラフィ、デジタル・フォント、文字のクレオール化など、縦横無尽に語られる文字の可能性を知ると、視野が大きく広がることだろう。
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目次|著者紹介|デザインの言葉シリーズ|予約注文受付中
漢字という文字体系には、ばらばらなものを結びつける
「文字の靈力」が隠れている。(杉浦康平)
【目次より】
はじめに 文字の生息圏を歩く
【1】
「文字」を巡って------漢字からクレオール文字まで------
松岡正剛さんとの対話
【2】
人間・線・音のつながり 漢字のカタチ1
森羅万象のざわめきを映す 漢字のカタチ2
【3】
方形の大地に根をのばす 漢字のカタチ3
印す文字、祀る文字、奏でる文字 漢字のカタチ4
【4】
木の音、本の響き
文字の海、魚が吐く 原稿用紙の謎1
マカラが吐く、豊穣の海 原稿用紙の謎2
うねり・波うつ宇宙山 山文字の謎1
産み・増殖する「三つ山」の気 山文字の謎2
「手」文字の象(カタチ)
日・月の輝き
「寿」「福」融合
【5】
寿字爛漫、変幻する文字 漢字のカタチ5
寿字爛漫森羅万象と照応する 漢字のカタチ6
漢字の記憶、身体の記憶とむすびつく 漢字のカタチ7
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【著者紹介】
杉浦康平 Kohei Sugiura
グラフィックデザイナー。現在、神戸芸術工科大学名誉教授、同大アジアンデザイン研究所所長。1932年東京生まれ。ライプツィッヒ装幀コンクール特別名誉賞、毎日芸術賞、紫綬褒章など受賞多数。そのブックデザインは数多くのクリエイターに影響を与え、中でも『伝真言院両界曼荼羅』(平凡社)、『全宇宙誌』『人間人形時代』(共に工作舎)は代表作の一つとして語り継がれている。
アジア図像への探求を深め、『日本のかたち・アジアのカタチ』(三省堂)、『かたち誕生』『生命の樹・花宇宙』(以上、NHK出版)、『宇宙を呑む』(講談社)、『宇宙を叩く』(工作舎)からなる「万物照応劇場」シリーズを執筆。編著書に「神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ」(工作舎)、『アジアの本・文字・デザイン』(DNPアートコミュニケーションズ)、『文字の美・文字の力』(誠文堂新光社)など。また雑誌作品集に『疾風迅雷』(DNPアートコミュニケーションズ)がある。
なお、これまでの業績については、臼田捷治『杉浦康平のデザイン』平凡社新書(2010)に詳しい。2011年には武蔵野美術大学美術館・図書館主催『杉浦康平・脈動する本』展が開催され、心血を注いで取り組んだブックデザインを中心に、作品群の全容を俯瞰し話題となった。
杉浦康平デザインの言葉
第1弾『多主語的なアジア』
第2弾『アジアの音・光・夢幻』