レプリカ [詳細]
妖怪からiPS細胞まで!
気鋭の分子生物学者が明かすコピーとオリジナルの怪しい関係。
「私」は、複製できるか?
ヒトは なぜ真似をしたがるのか?ヒトは なぜ「個性的」でありたがるのか?
合わせ鏡と人形は、なぜ恐ろしいのか?
懐かしさは どこから来るのか?
学校ではなぜ 怪談がたくさん生まれるのか?
昆虫は なぜ種類は多いのか?
赤血球には なぜ核がないのか?
生物は なぜ進化するのか?
生物は なぜ死ぬのか?
意識は複製されるのか?
他人とは 何か?……〈私〉とは 何か?
■目次 |
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プロローグ──複製。そして変容。
第 I 期 「身のまわりの複製」展
第1展示室 複製とは何か
第2展示室 身のまわりの複製産物
複製と複製産物にとり囲まれた生活……並ぶ・並ぶ・並ぶ……爪楊枝のお尻──滑稽さと複製……複製芸術と半複製芸術……
オリジナル芸術と工芸品……複製的社会……
学生実習に見る複製の功罪……大学という複製装置
第3展示室 複製の原形──二つに分ける・二つに分かれる
パンを分けて食べる……店の「分裂」……同一性と連続性……本店と支店国鉄の分割民営化……内と外……二項対立と繰り返し……明と暗
第4展示室 複製される者たち
4─1 複製と恐怖鏡像段階と三面鏡……増殖する眼の恐怖……
人形─この恐ろしげな複製品……アンドロイド(人造人間)
4─2 距離を保った複製
剽窃か、そうでないか……パロディ
4─3 複製と伝承
複製される「白雪姫」……複製される妖怪の絵
4─4 流行と模倣
囲碁とピアノ……流行ということ……複製装置としての学校と噂話……
模倣とは何か……ゴッホと浮世絵……「なりきる」ということ
4─5 意識の複製
プラナリア……クローン人間・生まれ変わり・魂……意識は複製されるか
第5展示室 複製の深淵
懐かしいということ──過去を複製する……テーマパークとは何か……複製産物の集合と孤独……「個独」と「複製」のはざまで生きる……
言語表現と複製……個性の形成とハビトゥス……複製欲
第6展示室 繰り返しと集合
繰り返し・反復と、複製……ラヴェル「ボレロ」に見る繰り返し……橋はなぜそこにあるか……おめでたい「繰り返し」と、恐ろしい「繰り返し」……
電車は誰がために駅に停まる……繰り返さないで済む方法……
集合と複製……集合と複製を結ぶもの
第 II 期 「生物の世界の複製」展
第7展示室 生物の特徴としての複製
第8展示室 複製する細胞たち
細胞分裂と複製的ゆらぎ……不均等分裂とエピジェネティクス……細胞の同一性──機能的、そして運命的なもの……細胞の複製と分化……
複製産物である細胞たちの決められた運命──細胞系譜と体節……
使い捨てられる細胞たち……複製の海……もう一つの生物系──がん細胞
第9展示室 DNAの複製と進化
9─1 DNAは複製するDNAの複製……リードする鎖と遅れる鎖……トロンボーンモデル
9─2 進化をもたらす不均衡なDNA複製
ラギング鎖の不安定性……少しずつ変化していく──複製エラー……
DNAポリメラーゼαの謎……DNA複製の不均衡さと進化
9─3 複製の歴史
第10展示室 「自己」複製とは何か
DNAは自己複製しない……無性生殖的な複製……有性生殖的な複製……繰り返しの強調……「自己」複製する機械……
第11展示室 進化に見える様々な複製──進化複製論
異所的種分化の様相……遺伝子の多様性と「複製」……擬態のはなし……キンカチョウの歌文化……節足動物の体における複製のメリット
第12展示室 生命複製論
テロメア──「回数券」としての「複製券」……タンパク質複製論……クローン化社会……複製学の対語としての博物学……
複製の分類学1──オリジナルに依存するか、依存しないか……
複製の分類学2──目的による分類
索引
参考・引用文献一覧
エピローグ
■関連図書(表示価格は税別) |
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■関連情報 |
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●2013.1.22 代官山蔦屋書店にて武村政春さんトーク
代官山 蔦屋書店での武村政春さんのトークイベントを開催。武村さんは妖怪からiPS細胞までの幅広い内容をユーモアいっぱいに語り、時間の経つのも忘れるほど。 楽しいイベントになりました。
このイベントでは『レプリカ』をお買い上げいただいた方に特製小冊子を配布。15色ものバリエーションの力作のため大好評でした。そのため引き続き代官山蔦屋書店で、『レプリカ』をお買い上げの方にプレゼント中。代官山 蔦屋書店サイト
*イベント告知ページ
●2012.11.27〜青山BC六本木店フェア
著者・武村政春さんが選んだ複製関連図書とその周辺の書籍を集めたもの。題して「「私」は複製できるか? 武村政春が選んだ進化と文化の複製書物館」。ドーキンスの『利己的な遺伝子』からベンヤミンの『複製技術時代の芸術』まで武村さんが選んだ本にはコメントもあり。ABCの写真はこちら>>>(フェア開始時、2013年1月リニューアル後は、2F奥に移動)。
なおこのコメントは[特集]にて再録しました。
■書評 |
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●2013.8.31 図書新聞 橋本一径氏書評
「複製装置」から出発する「イメージ生物学」
それぞれの「複製産物」が同一であるかどうかは、見る者や状況に左右される相対的な事柄であり、だとすれば本質的なのは、個々の複製産物よりも、それらを生み出す「複製装置」であろう。そうした装置を突き詰めれば、複製を生み出したいという、われわれの「複製欲」にたどり着くという。実はこのような見方は、イメージを観者の身体や欲望と本質的に結びついたものと考える、ハンス・ベルティングらの「イメージの人類学」にも通じるものがある。本書を手がかりに、新たな「イメージの生物学」を構想することも、やがて可能になるのかもしれない。(橋本一径:早稲田大学文学学術院准教授/表象文化論・指紋論)