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●月島を歩く〜『月島物語ふたたび』の世界へ 05

銭湯事情

月島三丁目のバス停の前には、しばらく前まで梅の湯という風呂屋があった。と思ったらいつの間にか取り壊され、ピカピカと輝く協和銀行の建物となってしまった。(中略)36ヘクタールの広さをもつ月島一号地には、五年前には月島湯、月島温泉、東湯、菊の湯、松の湯、梅の湯と都合六軒の銭湯が存在していた。1990年には四軒しか存在しておらず、後の二軒は銀行と化してしまった。どうやら風呂屋を口説き、その広大な敷地をまず獲得するというのが地揚げ屋の常套手段のようである。もよりの銭湯がなくなったとき、内風呂のない長屋の住人は、冬の日も雨の日も、これまで足を運ぶことのなかった遠い浴場へ行かざるをえなくなる。老人にとって不便きわまりないことはいうまでもないが、同時に風呂屋を中心とした地域コミュニティーは存続が困難となる。(中略)月島二丁目のあたりには最近頻繁に空地が目立つようになったが、あと10年も経てばこのあたりの風景はどう変化しているだろう。

『月島物語ふたたび』第五回月島通一九九〇年三月より)

東湯煙突 東湯のシルエット 正面から見た東湯

四方田さん、そして月島二丁目のみなさんを温め続けてきた「東湯」の煙突です。この煙突から薪を焚いた煙がモクモク出ることはもうありません。2006年秋に閉店し、そのままポツンと現存しています。この16年の間に他の銭湯も次々閉店し、残るは西仲商店街の「月島温泉」だけとなりました。(編集部)
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