7月の新刊『ライプニッツ著作集』
第I期新装版 第2巻
7月の新刊は、『ライプニッツ著作集』第I期新装版(全10巻)の第6回配本「第2巻 数学論・数学」。
配本が前後してしまいましたが、前回、第5回配本「第3巻 数学・自然学」の前編にあたり、この第2・3巻をもってライプニッツの数学における業績をまとめています。日本では哲学研究が先行したなかで、数学の画期的な原典邦訳とあって、初版刊行時には大きな注目を集めました。
本書第2巻では、発見術へつながる普遍数学を論じた「数学論」および、微積分学創始を中心とした「数学」諸論考から成ります。
微積分学はニュートンとライプニッツがそれぞれ独自に確立し(それゆえ論争勃発)、今日使用されている記号を導入したのはライプニッツの功績といわれています。そのため、「数学」ではホイヘンスやニュートンへの手紙をはじめ、数々の手稿を邦訳し、数学の新しい方法を求めた、知的探求のドキュメントといえます。東京大学名誉教授・数学者の彌永昌吉氏は、微積分の成立過程の精緻な解説は日本では本著作集(つまり、第2巻・第3巻)以外に見当たらない、と賞賛してくださいました。
A5判上製、400頁に旧版同様、8頁の手稿も加わります。本体12000円。7月下旬の発売です。
【目次】
1数学論
普遍的総合と普遍的解析、すなわち発見と判断の技法について
普遍数学
数学の形而上学的基礎
2 数学
[ガロアへの手紙]無限算へのアプローチ
[ホイヘンスへの手紙]算術的求積
重心論による求積解析1・2
求積解析第2部
3個の[実]根を持つ立方方程式の解法、虚の量の介入によって表現された実根、および第6の算術演算について
逆接線法
オルデンバーグへの手紙
接線の微分算
オルデンバーグへの手紙
誤謬が避けられ、精神があたかも手をひかれるように導かれて、数列が容易に見出される、新しい解析の実例
有理数によって表わされた、外接正方形に対する円の真の比について
分数式にも無理式にも煩わされない極大・極小ならびに接線を求める新しい方法、またそれらのための特別な計算法
接触角と接合角の性質、および実践的数学において扱いにくい図形をそれに代わるより簡単な図形で置き換える際の、これらの角についての新考察
深奥な幾何学ならびに不可分者と無限の解析について
ホイヘンスへの手紙1・2
柔軟なものが自身の重さによって描く曲線について、また任意個の比例中項と対数を見出すためのその曲線の格別な利用法について
ニュートンへの手紙
■新装版 全巻予約特典
この新装版は隔月で刊行予定。全巻予約特典、冊子「発見術への栞」が大好評です。高山宏氏や彌永昌吉氏をはじめ、海外のライプニッツ研究者など多彩な執筆陣を迎えた、旧第I期の月報「発見術への栞」をまとめた小冊子です。今からでも受け付けます。
第I期特別付録『発見術への栞』